大きな胎動を感じた
それまでは穏やかだった気配が、
突然活発になった
それは今までせき止められていた水が解放されたような
水底に沈む海龍が100年の眠りから覚め水上を目指したような
強い胎動だった
その波紋に真っ先に感じ取ったのは誰ならぬ大魔王であった
夜の眠りから覚めたばかりの彼は着替えはおろか常に付けている仮面さえ置いて、王家の泉へと向かった
魔力を湛える王家の泉のそこには淡いオレンジ色の何かが沈んでいた
袖を泉に浸して、彼は常ならば存在しないその何かを救いあげた
それはヒト型の生物が持つ胃であり、彼の顔以上に膨れ上がっていた
胃の中心を縦にまっすぐな線が走る
中から魔力が溢れだし、胃壁はチーズのように融けて消えた
彼の手には赤ん坊が一名残されていた
パステルのような優しい肌の色
うっすらと生えた金の髪
空気の刺激に赤ん坊が産声を上げはじめた
ダミ様と魔王さま、その周辺霊物・構成員で魔王に関する短編集(ってかぶつぎりネタ)やれたらいいね
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